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第5回産業日本語研究会・シンポジウム開催のご案内

開催の趣旨について

平成26年1月

産業日本語活動の次のステップに向けて

産業日本語研究会では、産業用文書の作成に適し、産業分野・科学技術分野における情報発信力や知的生産性の飛躍に貢献するとともに、わが国産業界全体の国際競争力の強化に資する日本語(「産業日本語」と呼称します)に関し、昨年に引き続き「第5回産業日本語研究会・シンポジウム」を下記のとおり開催することになりました。
 本シンポジウムでは、日本語文書を客観的に分かり易くするためのライティング等にかかる取り組みのご紹介の場として、各分野(特許、法令工学、翻訳、テクニカルコミュニケーション、システム開発など)における主要機関・団体の活動をご講演いただきます。これらの機関・団体とご参加の皆様が一堂に会することにより、多様な視点を共有することができ、正確かつ円滑な情報発信力の強化に資する議論が深まるとともに、産業日本語活動においても、次のステップにつながるものと考えております。

本シンポジウムは、以下の日時、内容にて行ないます。参加費は無料です。ぜひ多数の方にご参加いただきたく、ご案内申し上げる次第です。よろしくお願いいたします。

 

顧問:長尾  眞 (京都大学名誉教授)

代表:井佐原 均 (豊橋技術科学大学)
    辻井 潤一 (マイクロソフトリサーチアジア研究所)
    橋田 浩一 (東京大学)
    隅田英一郎 (情報通信研究機構)
    横井 俊夫 (日本特許情報機構特許情報研究所)
    潮田  明 (奈良先端科学技術大学院大学)
    松田 成正 (日本特許情報機構)


■主催:

高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)、言語処理学会、一般財団法人日本特許情報機構(Japio)

■後援:

総務省、経済産業省、特許庁、国立国語研究所、情報通信研究機構、工業所有権情報・研修館、情報処理学会、人工知能学会、アジア太平洋機械翻訳協会

■日時:

平成26年2月27日(木) 午後1時 ~ 午後5時40分

■場所:

東京大学 情報学環・福武ホール ラーニングシアター (東京大学 本郷キャンパス)

■目的:

~産業日本語活動の次のステップに向けて~

■参加費:

無料(事前登録制)

 


<< プログラム >>

(1)開会挨拶 13:00 - 13:10

長尾 眞 京都大学名誉教授

第一部 13:10 - 13:40

(2)招待講演 特許制度における明細書等の役割について 13:10 - 13:40

滝口 尚良 特許庁 審査第一部調整課審査基準室 室長

概要: 特許制度において、明細書等の出願書類は、自らのなした発明を技術情報として公衆に公開するとともに、特許権による保護を受ける発明の範囲を開示する権利書としての意義を有する。法律等による規制、言語による技術の表現等に起因して、論文等とは異なる特有の問題を有していることを、具体例を用いながら説明する。

第二部 13:40 - 15:10

(3)特許版・産業日本語の活動報告 13:40 - 14:10

松田 成正 一般財団法人日本特許情報機構調査研究部長/特許版・産業日本語委員会委員

谷川 英和 IRD国際特許事務所 所長 弁理士/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 人に理解しやすく、機械翻訳など言語処理技術を活用するコンピュータにも処理しやすい日本語研究のうち、特許情報への応用を対象としたものを「特許版・産業日本語委員会」で研究・分析してきた。以下のテーマを中心に報告する。

  • 特許明細書作成実務に密着した「特許ライティングマニュアル」 明晰な特許文章を書き、論理的に明確な特許文書を作成するためのマニュアル
  • 特許ライティングを総合的に支援する「特許ライティング支援環境」 特許明細書の作成、閲覧、評価を支援するシステムの活用プロセスの透明化
  • 法的観点での適正な特許書類を目指す「36条ルール化検討」 特許法第36条(記載要件)の違反類型等に基づくルール化の検討

(4) 構造化言語と文章ライティング 14:10 - 14:40

-構造化クレームを用いる請求項文ライティング-

横井 俊夫 特定非営利活動法人セマンティック ・コンピューティング研究開発機構 理事/特許版・産業日本語委員会委員

概要: 構造化言語とは、表現対象となる情報の構造(談話構造やマクロ構文構造などに準ずる構造)を明示化する仕組みをもつ言語である。構造化言語で書かれた文章(構造化文章)を読むことによって通常の文章(線状化文章)が得られる。構造化言語を仲介役とすることによって、文章ライティングにおける様々な操作が、手順だった効率の良いものになる。さらに、既存のテキスト処理システムをより有効に活用できるようにもなる。文章作成では、明解に構造が読み取れることを線状化文章の明晰性の条件とすることによって、手順だった作成工程を設定できるようになる。産業技術文章では、言語間にまたがって構造が保存されるとすることができる。したがって、文章翻訳、例えば、日英間翻訳では、構造化日本語と構造化英語間の翻訳を仲介役とすることによって、機械翻訳を精度高く活用できるようにもなる。文章要約では、構造を手掛かりとして精度の高い自動要約が可能となる。特許文書における適用事例に基づいて説明を行う。構造化クレームという構造化文章を仲介役とする請求項文という文章のライティングである。特許文章の多くの課題は、請求項文の諸課題に深く関係する。これらの諸課題が構造化クレームによって大きく改善されることを示す。

(5) グラフ形式に基づく文書作成支援 14:40 - 15:10

橋田 浩一 東京大学 大学院情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センター 教授/特許版・産業日本語委員会委員長

概要: 文書コンテンツをグラフの形に構造化することによって談話構造や照応構造を部分的に明示することができる。これにより、人間にとって文書の理解と作成を容易にするだけでなく、コンピュータによる自動解析の精度を向上させ、高度な検索や分析や翻訳等を実現することができる。医療文書や特許文書を例としてこの方法を解説し、実用化の戦略を論ずる。

《 休憩 15分 》

第三部 15:25 - 17:25

(6)法令工学の言語処理 15:25 - 15:55

島津  明 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授

概要: 我々の社会は,税,年金などの多数の社会制度により支えられている.社会制度(システム)は,非常に多数の相互に関連した法令により規定されている.現代社会は多様で変化が大きく,安定した社会のためには,適切な法令がタイムリーに制定あるいは改定されなければならない.税や年金などの制度は法令に基づき情報システムとして実現されている.情報システムの不完全さや事故がもたらす損害はきわめて大きいことから,仕様としての法令の重要性を強く認識しなければならない.安心安全な社会の実現には,法令の持つシステム的側面を捉える方法論が期待されるが,従来十分な研究対象になっていない.
 「法令工学」は,上述のような見方に立って,法令に情報科学的手法を適用し,完全で矛盾のない法令の制定や改定,法令が規定する情報システムの設計開発などを計算機で支援するための方法論を対象とする学問として提案された.一般に,法令に加え,規則,技術標準,仕様など,形式的な文書やテキストにより表されるものも対象となる.
 本シンポジウムでは,法令工学の目的や考え方を紹介し,基盤となる言語処理について,課題を上げ,これまでに行ってきた研究を紹介する.それらは,条項の要件効果構造の解析,条文の形式論理表現への変換,照応解析,条項の構造的書き換え,質問応答,判例の構造化などである.その要は,法令構造を捉え,法令の矛盾検出,可読性向上などに対応し,法令文書の作成*変更,理解などを支援しようとするものである.このような論理的,意味的構造に基づく文書処理は,社会的役割を持つ特許文書においても意義があるであろう.

(7) 実務翻訳における日本語スタイルガイドの活用 15:55 - 16:25

-『JTF日本語標準スタイルガイド』のご紹介-

田中 千鶴香 一般社団法人 日本翻訳連盟(JTF) 理事・標準スタイルガイド検討委員会委員長

概要: 日本翻訳連盟が作成し、無償で公開している「JTF日本語標準スタイルガイド」を紹介する。同書は日本語表記のガイドラインであり、外国語から日本語に実務文書を翻訳する際に広く活用されることを目的として作成された。翻訳サービスの要件を定義したISO規格DIS17100において、スタイルガイドの使用が翻訳プロジェクトの要件となっていることからもわかるように、実務翻訳におけるスタイルガイドは、翻訳成果物を「商品」として作るための規格のひとつという性格を持つ。「JTF日本語標準スタイルガイド」の概要を述べるとともに、実務翻訳の現状を簡単に紹介する。表記エラーの検出機能を持つ「JTFスタイルチェッカー」も併せて紹介する。

(8)取説新時代に向けてのテクニカルコミュニケーターの役割 16:25 - 16:55

山崎 敏正 一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会 代表理事

概要: 2012年に制定された使用説明の国際規格IEC82079-1は、対象媒体として使用説明を取扱説明書に限定せず、カタログ、ウェブサイト、ラベル、包装、製品本体、機器内蔵の操作ガイダンスやUIを含むものとして定義された。このような変化を前にして、テクニカルコミュニケーターは、どのようなテクニカルビジョンを描き、どう変わるべきか、これからの取説新時代に向けての役割を説明する。

(9)システム開発文書の品質向上への取り組み 16:55 - 17:25

塩谷 敦子 システム開発文書研究会ASDoQ 幹事/合同会社イオタクラフト 執行役員

概要: 携帯電話やデジタル家電、自動車などの私たちの身の回りにある多くの製品には、ソフトウェアが搭載され、ソフトウェアを含むコンピュータシステムの開発は製品開発の中で重要な位置づけにある。高品質の製品を作り上げるためには、高品質のコンピュータシステムを開発することが求められる。 システム開発文書は、このようなコンピュータシステム開発の過程で作成し、開発過程での成果と品質に大きく関わり、製品そのものの品質にも影響を与える。このように最終製品の品質を左右し得るシステム開発文書の品質向上に向けた活動を紹介する。

(10)全体討論(質疑応答)及び閉会挨拶 17:25 - 17:40

 

第四部 17:40 - 19:00

懇親会・意見交換セッション

※第四部懇親会は、福武ホールスタジオ1(スタジオ2,3と一体)にて、懇親会&意見交換セッションを行ないます。ささやかですが、飲み物など準備しておりますので、こちらも是非ご参加の上、参加の方々でご交流ください。

■シンポジウム全般のお問い合わせ先:
  高度言語融合フォーラム(ALAGIN)内
  産業日本語研究会・シンポジウム事務局 担当 信(のぶ)
  TEL 03-3351-8423

■事前申込締切 2月25日(火)終了しました。

■事前申込先 こちらからご案内しています。終了しました。