令和3年12月
グローバル化が進む中での産業日本語
~様々な日本語使用者間のコミュニケーション~
産業日本語研究会では、産業・科学技術情報の発信力強化や知的生産性の向上を通じて、わが国産業界全体の国際競争力強化に資するような、人間が理解しやすく機械が処理しやすい日本語(「産業日本語」)のあり方を研究しています。この「産業日本語」の研究は、明瞭な日本語文の作成、高品質な翻訳文の作成コスト低減などにつながるものです。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン会議ツールやVR技術等のデジタルツールの技術進歩が加速し、遠隔での技術指導・遠隔学習が可能となってきています。
企業では海外生産や国内における外国人労働者の雇用等、グローバル化が進んでいる中で、研修・技術指導など対面で行っていたコミュニケーションが、オンライン会議ツールやVR技術等を用いたコミュニケーションへと切り替わって行くことが想定されます。
このような背景のもと、今回のシンポジウムでは、「グローバル化が進む中での産業日本語」をテーマとし、様々な日本語使用者間のコミュニケーションの変化に向けて、産業日本語の未来について考える上での最新の知見やトピックス等を広くご紹介いただきます。
本シンポジウムが、産業日本語の更なる普及につながり、我が国産業に大いに貢献できる機会になることを期待しております。
産業界、学術界などからの、多くの皆さまのシンポジウムへのご参加をお待ちしております。
■主催:
高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)、一般財団法人日本特許情報機構(Japio)
■後援:
総務省、文部科学省、経済産業省、特許庁、
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所、
国立研究開発法人情報通信研究機構、独立行政法人工業所有権情報・研修館、
一般社団法人情報処理学会、一般社団法人人工知能学会、一般社団法人言語処理学会、
一般社団法人日本知的財産協会、一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会、
一般社団法人大学技術移転協議会、株式会社産業経済新聞社
■日時:
2022年2月22日(火) 13:00-17:40
■開催方法:
オンライン配信(zoomのウェビナー機能を使用予定です)
■テーマ:
グローバル化が進む中での産業日本語
~様々な日本語使用者間のコミュニケーション~
■参加費:
無料(事前登録制)
■事前申込先
お申込みはこちら(お申し込みは締め切りました)
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【オープニング】
(1)開会挨拶
井佐原 均 | 産業日本語研究会 世話人会 代表 |
【第一部】
(2)招待講演
『日本語の「やさしさ」と「豊かさ」の緊張関係について』
古田 徹也 | (東京大学大学院 人文社会系研究科 准教授 放送大学 客員准教授) |
日本語は難しい、習得や運用のコストが高い、というのは以前からよく聞かれる声です。常用漢字表の前身である当用漢字表が制定された背景にも、〈日本語をよりやさしいものにする〉という目的がありました。ただ、自然言語の簡素化や平明化にはデメリットもありえます。本講演では、「やさしさ」と「豊かさ」の緊張関係という観点から、カタカナ語や業界用語の「難しさ」をめぐる問題や、「やさしさ」と「わかりやすさ」の違い、さらには、翻訳しにくい言葉の意義などをめぐって、できるだけ具体例を挙げながら考えてみたいと思います。
(3)招待講演
『公用文をやさしくするために』
岩田 一成 | (聖心女子大学 日本語日本文学科 教授) |
2019年、日本は外国人労働者の受け入れに舵を切りました。それ以降、国の各種言語政策において、公用文のわかりやすさが求められるようになってきています。日本は長らく、公用文の表記(漢字の制限や、送り仮名の付け方)に神経を尖らせ、内容の伝わりやすさに重心が置かれてきませんでした。実は、公用文はどこの国でも難解で、わかりやすくするために様々な工夫がなされています。海外の事例を紹介しつつ、公用文が難解になってしまう仕組み、そしてそれをわかりやすくするための仕掛けについて議論したいと思います。公用文こそ、産業日本語として公開していかなければなりません。
(4)招待講演
『外国人受け入れのための環境整備ーコミュニケーションの観点からー』
近藤 彩 | (昭和女子大学大学院文学研究科・人間文化学部 教授) |
日本人と外国人が働く職場ではどのようなことが課題になるのか、主にコミュニケーションの観点からお話しします。経済産業省と開発した「日本人社員も外国籍社員も 職場でのミスコミュニケーションを考える」(動画と手引書)や、働く外国人を支援する番組”Easy Japanese for Work”(しごとのにほんご)(NHK WORLD)についても一部ご紹介します。最後に、ダイバーシティの職場で重要となる「問題発見解決力」を身につける学習方法と、それを用いた企業研修についてご紹介し、企業の環境整備の在り方について考察します。
(10分間 休憩)15:05-15:15
【第二部】
(5)ポスターセッション(オンライン)
ポスターやビデオなどの説明資料は事前に掲示されます。
ポスター毎の部屋でのチャットによる討論・質疑を行います。
1. 産業日本語研究会・ライティング分科会活動 |
(佐野 洋) | |
2. 産業日本語研究会・文書作成支援分科会 |
(橋田 浩一) | |
3. 産業日本語研究会・特許文書分科会活動 | (谷川 英和) | |
4. 特許ライティングマニュアルの紹介(仮) | (久々宇 篤志) | |
5. システム開発文書品質研究会(ASDoQ)の活動紹介 | (栗田 太郎) | |
6. 第3世代ニューラル翻訳技術と翻訳バンクの展開報告 | (隅田 英一郎) | |
7. Japio世界特許情報全文検索サービス およびAI翻訳サービス 紹介 |
(佐藤 仁思) |
(10分間 休憩)16:05-16:15
【第三部】
(6)パネルディスカッション
『グローバル化が進む中での産業日本語
~様々な日本語使用者間のコミュニケーション~』
(6−1)『パネル趣旨とパネリスト紹介』
モデレータ 産業日本語研究会世話人会代表 | 井佐原 均 |
(6−2)パネリスト講演1
『読み書きの支援/診断技術と読み書き』
乾 健太郎 | (東北大学 大学院情報科学研究科 教授 理化学研究所 革新知能統合研究センター 自然言語理解チームリーダー) |
人工知能・自然言語処理技術の進化に伴い、人が読んだり書いたりする活動を支援・診断する技術も発展を続けている。そうした技術は人の読み書きの形を大きく変えていく可能性もある。このパネル講演では、近年の技術の進化と今後の展望を俯瞰し、読み書きの在り方を考える材料を提供したい。
(6−3)パネリスト講演2
『「母語である日本語」の再発見』
森 篤嗣 | (京都外国語大学 外国語学部日本語学科 教授) |
日本の学校教育においては,国内言語としては日本語,国際言語としては英語だけという「二つの言語単一主義」状態が長く続いている。これはヨーロッパなどで主流となりつつある複言語主義と大きく乖離するものである。日本でも複言語教育が推進されていくべきと考えるが,現実問題としてハードルが高い。そこで,本発表では「母語である日本語」に対する気づきを促すことで,言語に対する意識の相対化を図るところから始めることを提案する。これを実施する教科としては,国語科や外国語科,総合的な学習の時間が考えられる。さらには,2022年度から実施される高等学校の新科目である国語科「論理国語」や,外国語科「論理・表現」,公民科「公共」にも注目したい。
(6−4)パネリスト講演3
『非流暢かつ自然に話すヒト、そして機械』
定延 利之 | (京都大学 大学院文学研究科行動文化学専攻 教授) |
グローバル化が進み、異文化間コミュニケーションの機会が増えるにつれて、慣れない他言語での会話の負担もまた増大するであろう。本講演では、こうした負担の軽減につながり得る我々の言語コミュニケーション研究の取組を、特に日本語の非流暢性に関して具体的に紹介する。結論は以下のとおりである:多くの日本語母語話者は、ニュース原稿を読み上げるアナウンサーのように流暢には話しておらず、非流暢に話している。非流暢でありながら自然な母語話者の発話には、独自の規則性がある。この規則性を取り込むことで、学習者や合成音声の発話を、より自然でゆったりとしたものに改善できる。
(6−5)討論
パネリスト間の討論に加えて、参加者からの質問をチャットで受け付ける予定です。
【クロージング】
(7)閉会挨拶
小林 明 | 日本特許情報機構 専務理事 |
■シンポジウム全般のお問い合わせ先
高度言語融合フォーラム(ALAGIN)内
産業日本語研究会シンポジウム事務局 担当 松高
メールアドレス alagin-event@scat.or.jp
TEL 03-3351-8166
■事前申込締切 2月21日(月)
ご参加希望の方は、以下の「事前申し込み」をお早めに行ってください。定員(400名)になり次第、申込を締め切らせていただきます。
申込手続等についてご不明な点がございましたら、上記までにご連絡いただければ幸いです。
■事前申込先
お申込みはこちら(お申し込みは締め切りました)